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記憶の集積

Completion        : 2021.05
Principal use   : Residence
Structure             : RC structure

Total floor area : 63.8㎡

Building site   : Nerima , Tokyo
Contractor          : Onizuka kogyo  Co.,Ltd.

 分譲マンションの一室の改修である。住み手が変わるたびに少しずつ改修が行われてきたため、テイストがバラバラの造作家具、場所場所で少し色が異なるビニルクロス、使っていないダウンライト、和室のつまずきやすい段差、、、など当初の設計で使いにくい箇所や経年劣化含め、施主が「まぁいいか」と思いながら約20年間住み続けていた。
 テーマは、「活かせるものは活かし、新たな空間をつくる」という事とした。
 まず、リビングの戸境壁はコンクリート壁でその上に直にビニルクロスが貼られていたので、それを剥がし、コンクリート壁を表しとして元の状態に戻す事とした。コストを削減するために施主と共にクロスを剥がす事にしたが、剥がしてみると長押の下地の角材が埋められていたり、クラックがあったり、色違いのパテ処理がされていたりと現しの仕上がりと出来る状態では無かった。長押の跡にパテ処理し、クラックも補修を行い当然素人が施工するので不陸が生じてしまうが、コンクリートと同色の機能性塗料を塗布し、それらの不陸も記憶の集積としてインテリアの一部として受け入れる事とした。
 既存のテレビ台も上部は撤去し、開き戸の交換、天板の面材増し張りを施し、新設家具同様に仕上げる事が出来た。
 和室は、来客時に目隠しできるように木製ブラインドで囲えるようにし、ブラインドのたたみ代を隠すために3連引き戸があった垂れ壁は残した。また、床の危険な段差は無くしフラットにフローリングが連続するようにした。
 施主と共に作業することでさらに愛着が湧く空間に仕上げる事が出来た。

 all photo by  Yuichi Higurashi

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